大阪おおさか大学だいがくの石井いしい優ゆう教授きょうじゅらのグループは、独自どくじに開発かいはつした炎症えんしょうを画像がぞう化かする技術ぎじゅつでマウスの肝臓かんぞうを観察かんさつしたところ、腸ちょうから血液けつえきが流れ込ながれこむ血管けっかん「門もん脈みゃく」の付近ふきんでは、炎症えんしょうが比較的ひかくてき軽かるく抑おさえられていることを確認かくにんしました。

この部分ぶぶんを詳くわしく調しらべたところ、細菌さいきんなどを捕つかまえて分解ぶんかいしたり、炎症えんしょうを抑おさえる物質ぶっしつを産うみ出だしたりする免疫めんえき細胞さいぼう「マクロファージ」の1種しゅを新あらたに発見はっけんしました。

この特殊とくしゅな「マクロファージ」の機能きのうが働はたらかなくなるようにしたマウスの肝臓かんぞうでは、通常つうじょうのマウスと比くらべて炎症えんしょうが広ひろがりやすいことが確認かくにんされ、この「マクロファージ」が血管けっかんを通つうじた細菌さいきんなどの侵入しんにゅうから肝臓かんぞうを守まもっていることが分わかったということです。

また、腸ちょう内ない細菌さいきんが胆汁たんじゅうから作つくる酸さんにこの免疫めんえき細胞さいぼうを増ふやす作用さようがあることを突つきとめたほか、生活せいかつ習慣しゅうかんの乱みだれなどで起おきる「MASH」と呼よばれる病気びょうきなど肝臓かんぞうの慢性まんせいの炎症えんしょうがある人ひとでは、このマクロファージが減へっていることが確認かくにんできたということで、こうした病気びょうきの予防よぼう法ほうや治療ちりょう薬やくの開発かいはつの手てがかりになるとしています。

石井いしい教授きょうじゅは「『MASH』などにはまだ有効ゆうこうな治療ちりょう法ほうが見みつかっていないが、新あらたに発見はっけんした免疫めんえき細胞さいぼうの機能きのうを調節ちょうせつする方法ほうほうを探さがし病気びょうきを治なおせるようにしたい」と話はなしています。

この研究けんきゅう成果せいかは日本にっぽん時間じかんの25日にち、国際こくさい的てきな科学かがく雑誌ざっし「ネイチャー」のオンライン版ばんに掲載けいさいされました。